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金融仲介の質の向上に向けたシンポジウム(平成29年3月24日)の概要

基調講演

家森信善氏の写真

◆「質の高い金融仲介の実現への期待と課題」
   神戸大学経済経営研究所 教授 家森 信善 氏

 
  •  金融機関による「質の高い金融仲介」で大事なことが2つある。1つは、顧客の生産性を向上させているか、企業価値が増えているかどうか。もう1つは、これを持続的に提供できるか。そのためには収益が伴うものでなければならない。この両方が成り立って、初めて質の高い金融サービスが実現する。
  •  共通価値の創造のためには、地域金融機関には様々なノウハウがあるが、それだけでは解決しないこともある。そこで、金融機関が地方公共団体や専門家など外部と結びつくことでよりその価値が出てくると思う。連携力を一層高めることがどうしても必要となる。
  •  多くの金融機関が顧客との「共通価値の創造」(育てる金融)に舵を切っている。取組事例も増えてきた。ただ、成果が出るまでに時間がかかると思う。今、たまたま成績が悪くても、それを我慢できるかが重要になってくる。このあたりはマネジメントの覚悟ではないか。 
      ⇒資料(PDF形式:1588KB)

パネルディスカッション

パネルディスカッションの写真

萩原扶未子氏の写真

◆株式会社ジーアンドエス 代表取締役社長 萩原 扶未子 氏
 
  •  女性の場合、家事・育児・介護との両立のための一つの方法として起業がある。キャッシュフローが回ればそれでよいという方も多い。金融機関には、こうした女性に対する支援として、右肩上がりで成長していく従来の男性と同じ支援ではなく、ワーク・ライフ・バランスのコントロールができる支援をお願いしたい。
  •  女性起業者には管理職経験もなく、銀行との付き合い方も全然分からないという方が多い。金融機関には、専門用語でなく、リスク説明を含め、誰でもわかる丁寧な説明をお願いしたい。
  •  女性経営者は、まず聴いてくれる相手がほしい。ところが、窓口に行った段階で単刀直入に用件を聞かれてしまうと、自分のレベルや要件がまとまっていない段階では行ってはいけないと取ってしまう。
  •  店舗と人員削減、ICT化で、行員と信頼関係を作ることができる金融機関の店舗がどんどん減っている。金融機関には、こうしたところを何とかしていただきたい。

山口賢司氏の写真

 ◆株式会社グランディア芳泉 代表取締役専務 山口 賢司 氏
 
  • これからは生活の質の向上が意識される時代。その中で、低炭素社会や省エネルギーは非常にイノベーションが期待される分野だと思う。地域企業を熟知して、きめ細かいコンサルティング支援を行うことができる金融機関は、これからますます注目されると考えている。
  •  行政機関同士の連携が難しい場面や、地域に埋もれている宝を育てていく場面で、金融機関には横串を刺すような形で各地域のプレーヤーを連携させていく役割を期待している。
  •  持続可能な旅館業を考えたときに、いかに生産性を向上していくかということを強く思うようになった。そうしたときに金融機関の方が当社の経営会議などに参加され、経営上の悩みや課題をしっかり把握していただいた。金融機関ではできない部分は外部専門家を派遣していただきながら、一緒になって生産性向上に取り組んだことが財務基盤の強化につながった。企業支援にあたっては顧客企業の経営課題をしっかりと把握することが重要である。

林重毅氏の写真

◆金沢商工会議所 理事・中小企業相談所長 林 重毅 氏
 
  •  創業後間もない方には、計画段階のイメージと現実のギャップに悩んだり、計画通りに売上が確保できず不安を抱いている方もいる。また、自ら行う最終判断に悩む場面も出てくる。金融機関には、経験や知識が乏しい創業者に対し、よきアドバイザーとしてフォローをしていただきたい。
  •  社会状況の変化などで事業に影響を受け、資金需要が生じることもある。金融機関には、事業者の資金調達の面でもセーフティーネット的な役割を担っていただきたい。
  •  企業の成長に重要な要素となるのが、ITの活用促進。中小・小規模事業者がITを導入・利活用することで、業務効率化や販路開拓など経営力を向上させていくことが喫緊の課題。金融機関には引き続き、業務効率化や生産性向上のツールとしてIT導入の効果を事業者に分かりやすく紹介していただき、その支援をお願いしたい。

庵栄伸氏の写真

◆株式会社北陸銀行 取締役頭取 庵 栄伸 氏
 
  •  北陸は起業率が低いと言われるが、第二起業が結構あると思う。企業がそれぞれのステージで新たな分野に進出するというダイナミズムはまだまだある。地域の活性化としては、一次の起業家だけでなく第二起業も非常に大切。
  •  創業後、事業の継続が困難となるケースもある。金融機関は、ここで事業をやめるということも含めて、俯瞰的な視点からアドバイスをすることができる。うまくいかない事業を引きずらないで次のステップにチャンスを求めてはどうかと言うことも、金融機関として必要だと思う。
  •  顧客企業との課題共有については当行としても悩んでいるところ。担当者が経営者と話す時間がない。会っても器じゃないと思われて話をしてもらえない。昔は、経営者に金融機関の担当者を育てていただくといった面もあった。今はそういった機会が少なくなったが、少なくとも決算は経営者と一緒に議論し課題共有ができればと考えている。顧客との課題共有への真摯な取組が、金融機関の差別化を左右する大きなことなのかもしれない。

家森信善氏の写真

◆神戸大学経済経営研究所 教授 家森 信善 氏
 
  •  起業した若い経営者へのアンケート調査で、創業セミナーでしっかり勉強した人は経営計画を持っており、経営計画のある会社は経営が安定しているという結果がでた。こういったセミナーで基礎をしっかり学んでおくことは大事。こうした取組は続けていただきたい。
  •  共通価値の創造とは金融機関が顧客を甘やかすことではなく、顧客の発展を図ること。顧客が誤った認識をしていたら、それを正すことも重要な共通価値の創造ではないか。

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